今回のInterBeeでのもう一つの目的はZ5J用の三脚のチェック。
現在Z5J用に使用している三脚は、Vinten Vision5LFという古い型の物。
DSR300という肩載せカメラに合わせて中古購入しました。
肩載せに対応するヘッドなので、カウンターバランスは当然ながらZ5Jには合いません。
そのため、PROTECHのST-1とSONYのVCT-U14(以下フネ)を使い、なおかつフネの下に錘を付け使用しています。
これでもバランスは取れずに跳ね返り、SONYのバッテリLEDライトHVL-LBPAを取り付けてようやくバランスが取れます。
とはいえ、少しトルクを掛ければ跳ね返りも少なく、しっかりした100mmボールヘッドと相まって非常に滑らかで使いやすく、とても気に入っています。
しかし、やはり重く、部品供給が2012年で終了し、オーバーホールには20万程度掛るとの事なので、買い替えを検討中。
ところで、私は、コンシューマーとプロの間、いわゆるプロシューマーなどと言われるレンジのユーザー。
制作会社の人の様に色々な三脚を使い倒しては来ていませんので、その辺を考慮して以下お読み下さい。
ホームページにあるプロフィールをご覧頂ければ、おおよそのレベルがお分かり頂けると思います。
では早速、今回InterBeeでチェックした三脚の感想を。
許容荷重は、各社のカタログに掲載されているグラフから読み取った数値(重心高100mm)です。
● VINTEN Vision 3 AS
許容荷重 2.5-5.25kg
sachtlerに続き採用された、サイドロードシステムは確かに楽。フネを使わずに運用する場合には、特に便利そう。
フネを使わずZ5Jをダイレクトに付けた場合、カウンターバランスが最弱でも跳ね返る。
ライトやワイヤレスマイクレシーバーといったアクセサリーを付けた状態だとバランスは取れる。
かといってフネを使いZ5Jを取り付けると、許容荷重範囲が狭いため、アクセサリーを付けるとカウンター荷重をかなり掛ける事になり、結果、チルト幅がプラスマイナス90度ではなくなってしまう。
照明付き水準器は見やすくていい。
Z5Jをテレ端、パンのトルクを最大にした状態でパンさせてみたところ、sachtlerのFSB6で見られたような振り戻しは無さそう。
パンやチルトのトルク調整ノブは操作し易いものの、少々堅いような気が。
パンとチルトのブレーキレバーの出っ張りの位置がそれぞれ違うので、少し戸惑いました。まぁこれは慣れの問題。
パンやチルトのロックは低価格な三脚と違いカチッと止まるのはやはりいい。
カウンターバランス調整ノブが本体右側に移ったのは、調整し易くて良い。
説明員の話によると、海外での発表から日本での発売まで時間が掛ったのは、日本のユーザーの厳しい要求に答えられるよう改良を重ねていたためとの事。
また、Z5JにはPro-6HDVがいいのかもしれないとの事。
以前のVision3と比較してオススメですかとの問いに対し、以前のバネ交換式の方がいいという声も確かにありますと微妙なお答え。
● Libec RS-350
許容荷重 3-7.5kg
フネを使わずZ5Jをダイレクトに付けた場合、カウンターバランスが最弱でも跳ね返る。
フネを付ければバランスが取れ、また許容範囲が広いため、アクセサリーを付けてもカウンター荷重にまだ余裕があり、Vision 3 ASのようにチルト角度が狭くなる事はなし。
軽量にも関わらず、大きな振り戻しは無く、脚部は思っていたより、剛性が高そう。
カウンターバランス調整ノブは締め込んで行ってもそれ程堅くならず調整し易い。
パンやチルトのトルク調整ノブはフリー及び3段階切替で段数が少ないかなと感じたものの、実際には必要十分のような気も。
トルク調整ノブは適度なクリック感があり良好。
寒冷地での低温特性が飛躍的に向上したとの事。
デザインも私的には格好よくなった気がしていて、セットで15万という価格からするとなかなか魅力的。
● SECCED SC-DV6/75AH
許容荷重 0.7-5.62kg
実は今回見た中で一番驚いたのは、このメーカーの三脚。
中国製なので、正直、sachtlerのコピー品程度にしか思っていませんでした。
しかし、実際に触ってみると、随所に安っぽさはあるものの、すごくしっかりとした感じがしました。
操作感はsachtlerとそっくり。
カウンターバランスの調節が8段、パン・チルトのトルク調整がフリー及び3段と、スペックもsachtlerのFSB6と似通っています。
カウンターバランスの調整、パン・チルトの調整、いずれもやりにくさは特になし。
カウンターバランスの許容範囲が広く、8段の調整が利くので、フネを付けても付けなくても、アクセサリーを付けても付けなくても、ある程度バランスが取れます。
Z5Jのテレ端、パンのトルク最大でも振り戻しは感じませんでした。
パンやチルト中の嫌なトルク変動もありません。
セットで9万と破格の値段なので、これで耐久性や低温特性に問題が無ければ、コストパフォーマンスは脅威的と言えると思います。
今回、InterBeeでチェックした三脚は以上です。
sachtlerは展示場がせまく、念入りに試せそうではなかったので、パスしました。
また、manfrottoは見つけられませんでした。
最後にこれまでにチェックした三脚も含めての感想。
正直なところ、高価だからといって使い易い三脚ではないのかもしれないと思い始めています。
FSB6の振り戻しには驚きましたし、Vision 3 ASの荷重範囲の狭さにも少々疑問を感じます。
耐久性や繊細な操作を必要とした場合に差を感じる事になるのかもしれませんが、Libec や SECCEDなど、まずは安価な三脚を試してみるのもいいのかなと。
安価という点では、manfrottoの519にもかなり惹かれていました。
しかし、私が触った展示機が良くなかったのか、パンの最中に妙なトルク変動を感じ、不信感を抱いてしまいした。
おまけに、違う機会に触った時には、壊れていてパンできなくなっていたので・・。
一番最初に使った雲台は501でした。パンやチルトのトルク調節がしにくく、早々に使うのを止めてしまいました。
その後、526を触った時には、明らかにパンの途中で嫌なトルク変動があり、説明員に聞いたところ、実はその程度なんですと・・。
そんなこんなで、manfrottoのビデオ雲台には、信頼感を持てずにいます。
しかし、701HDVはなかなか使い易いですし、最新の503HDVは評価も良さそうなので、改めて試してみた方がいいかなと思っています。
また、サイドロードシステムに照明付水準器と改良されたVintenのPro-6HDVも毛嫌いせずに候補に入れてみようかなとも。(以前のPro6はまんまmanfrottoでしたので)
ところで、FSB6に関して随分悪く書いていますが、期待の大きさゆえという部分もあります。許容荷重範囲も広く軽量、直輸入すれば15万位で買える事を考えれば、十分魅力はあります。振り戻しもテレ端・トルク最大で無ければそれ程でもないのかもしれませんし、耐久性や低温特性といった信頼性は問題ないでしょう。
徐々に撮影回数が増えて来ているので、本格的に三脚を決めようと思うのですが、色々と試せば試すほど、悩んでしまいます。
撮影には、カメラ以上に大事と言われる三脚。そして非常に高価な三脚。
この三脚をもっともっと自由に試せる場所が有ったらいいのになとホント思います。
2009年11月21日
InterBee 2009 その2
posted by Konak at 23:40| 映像・コンテンツ制作関連